
こんにちは、Ryoです。
New York Law Exam(以下「NYLE」)を受験したので、受験体験記及び対策について書きたいと思います。
(追記)
結果が返ってきました。
NYLEとは
NYLEは、ニューヨーク州特有の法律知識をテストするものです。
ニューヨーク州で弁護士として登録するために必要な試験となっています。
主な特徴
NYLEの主な特徴は以下のとおりです。
形式
オンラインで実施される択一式(四択)の試験です。
「Examsoft」というソフトウェアを通じて行われ、自宅や大学で受験ができます。
私は大学の図書館で受験しました。
家だと子供がいて集中できないこと、印刷した資料を広げるために大きな机が欲しかったことが理由です。
重要:問題に一度回答すると、前の問題に戻ることはできません。
問題数及び制限時間
問題数は50問で、制限時間は2時間です。
オープンブック試験
試験中、受験者は事前に提供されるコース資料や自分で作成したノートを参照できます。
ただし、電子検索(PDFのキーワード検索など)は禁止されています。
実施頻度
年に4回(通常4月、6月、9月、12月)実施されます。
LLM生は本試験(Bar Exam)終了後の9月や12月に受験する人が多いです。
本試験前に受けたいなら、4月の試験を受けることになります(私はこのパターンです)。
合格基準
50問中30問正解(60%)で合格です。
試験科目
以下の科目が試験範囲です。
- Administrative Law
- Business Relationships
- Civil Practice and Procedure
- Conflict of Laws
- Contracts
- Criminal Law and Procedure
- Evidence
- Matrimonial and Family Law
- Real Property
- Torts and Tort Damages
- Trusts, Wills and Estates
- Professional Responsibility
受験までの流れ
NYLEを受験する流れは以下の通りです。
NYLCの修了
NYLEを受ける前に、New York Law Course(以下「NYLC」)を修了する必要があります。
NYLCは約17時間のオンライン講義で構成されており、ニューヨーク州特有の法律を学ぶためのものです。
講義には設問が埋め込まれており、正解しないと次のセクションに進めません。講義を早送りしたりスキップしたりすることは禁止されています。
NYLCのコース資料(約150ページのPDF、検索不可)が試験準備の主要なリソースとなります。
登録手続き
BOLEアカウントにログイン
BOLEアカウントにログインします。
NYLC/NYLEに移動してください。

NYLCを受講し終えると、NYLEの登録ができるようになります。
メールに書かれている手続きを完了
NYLEに登録したら、メールが送られてきます。
そこに必要な手続きが書いてあるため、それを行なってください。具体的には以下です。
IDとパスワードはメールに記載されています。
Examsoftのライセンス費用($29)を支払う必要があります。
Examsoftを立ち上げ、ユーザー登録を行います。
その後、Mock Examを受験します。
期限厳守: 設定された期限までに受験する必要があります。
Mock Examを受けるためのパスワードはメールに記載されています。
Mock Examは実際の問題ではなく、試験の流れについての説明となります。
試験問題のダウンロード
試験日前日までに試験問題をダウンロードする必要あります。
あらかじめメールが送られてくるので見逃さないよう注意しましょう。
試験問題を閲覧するためのパスワードは試験当日に発表されます。
勉強時間の目安
ニューヨーク州法務委員会は、1か月(4週間)の準備期間を推奨しています。
オープン・ブック形式とはいえ、2時間で50問を解くため、試験中にすべての答えを調べる時間はありません。
とはいえ、実際には、1週間ほど前から資料を読み、概要を理解する程度で十分です。
使用する教材
- 公式アウトライン
- ニューヨーク州法務委員会が作成している公式教材
- 基本的にはこれだけで十分です
- サンプル問題
- ニューヨーク州法務委員会による公式サンプル問題
- 実際の試験をイメージするのに役立ちます。
- NYLE Practice Questions – Welcome Home Justice
- Admin law, Civ Pro, Evidence, Propertyについての穴埋め問題
- 実際の試験形式とは異なるため、補助的な教材として活用
- NYLE Practice Test – Welcome Home Justice
- 本格的に勉強したい人向けの有料コース
- 無料でも5問程度のサンプル問題が利用可能
勉強法
NYLEを受けるためには、NYLCを修了しなければなりません。
NYLCの講義は約17時間あり、早送りができません。そのため、NYLCを修了する時間を確保することが、NYLC受験のための第一歩となります。
私がNYLCを受講した際は、冬学期のテスト勉強と重なっていました。
そのため、講義は流しっぱなしにしておき、問題が出たらスクリーンショットを撮って、AIに解かせるやり方で対応しました。
AIはすぐに答えを出してくれるのですが、たまに間違えます。
その度に講義を聞き直さなければならず、かなり無駄な時間を使いました。
問題は難しいものではないので、自分で資料を読んで回答した方が無駄なミスを減らせていいかもしれません。
NYLCで出た問題はNYLEでも出題される可能性があるため、問題と正解を記録しておくと役立つと思います。
アウトラインの整理
NYLEはオープンブック試験のため、効率的な資料検索が鍵となります。
見出しを把握し、最低でも1回は内容を通読しておくことをお勧めします。
原則だけでなく細かい例外事項まで問われるため、アウトラインの内容を頭に入れておくと時間短縮に繋がります。
バインダーを用意し、セクションごとにタブをつけておくとスムーズに試験に臨むことができます。
日本語ノートの活用
アウトラインは約200ページあり、通読するだけでも大変です。
そこで、日本語のまとめノートを作成することで理解が格段に向上しうます。
参考までに、私がやった方法を書いておきます。
アウトラインをセクションごとに分割
アウトラインは検索はできませんが、ページの切り出しは可能です。
Adobe(学割プラン)でページ編集が可能できます。
日本語でまとめノートを作成
まとめノートの作成にはNotebookLMを使いました。
セクションごとに分割したPDFをアップロードして、AIにまとめノートを作成してもらいます。
Outlineを丸ごと投げて要約してもらうこともでできなくはないのですが、後のセクションになるにつれて要約の精度が落ちるため、セクションごとにPDFを分けて要約を作成してもらった方が詳細な要約になります。
作成したまとめノートをWordにまとめて印刷
試験中はPDF閲覧不可のため、印刷資料が必須です。
当日のアドバイス
持ち込む資料
試験で参照したのはOutlineと日本語ノートのみです。他の資料は不要だと思います。
試験戦略
試験問題は50問ですが、これを2時間で解くのはかなり大変です。
1問当たり2分半ほどしかありませんが、問題ごとに資料を参照していると到底このペースには間に合いません。
合格するためには30問正解すればいいので、私は以下のような戦略を取りました。
正答率を高めるため、最初の30問は時間を気にせず資料を参照して解くようにしました。
該当するセクションを見つけ、内容を読むというやり方だと1問当たり早くて3分、遅い場合だと5分程度かかります。
事前にどれだけ勉強したかによりますが、このやり方で30問解いていくと1時間15分〜1時間30分ほどかかることになります。
30問解き終わったら、徐々にスピードアップします。
全ての問題で資料を読むのではなく、すぐに答えが見つかりそうな問題は答えを探し、そうでない場合は適当に答えて次に進むなど、1問当たりの回答時間を短くしていきます。
残り3分ほどになったら、残りの問題をランダムに回答します。
この際、たとえば全てDと回答するなど、ルールを決めておいた方がいいです。
実際に受けてみて
実際に受けてみての感想ですが、時間はかなり厳しいです。
上記の戦略通りにいくと間違いなく時間は足りなくなります。ただ、他のLLM生も同じように時間が足りないと言っていましたので、時間が足りないのは日本人だけではないようです。
実際、私は最初の2問だけで10分の時間を費やしました。30問解くのに1時間30分ほどかかり、全ての問題を十分に回答することはできないと悟りましたが、これは戦略通りと言い聞かせ、落ち着いて解くことにしました。
資料を見ながら回答できたのは42~3問といったところです。残りの問題は適当に答えました。
試験の多くの問題はCivil Procedureから出題されます。そのため、このセクションは試験前に重点的に読んでおくことをお勧めします。私が受けた試験では特に出訴期間の話が出てきました。
次点で、Contract, Tort, Family Lawあたりがよく出ます。Court SystemやAdmin Lawはほとんど出ません。
Tips
日本語ノートを作成しておくと便利
Outlineには法律の専門用語も含まれていますので、通読するのはかなり大変です。事前に日本語ノートを作り、各セクションでどのようなことが書いてあるのかをあらかじめ頭に入れておくと、スムーズにOutlineを読むことができます。
私はNotebookLMを使いましたが、事務所がDeepLの有料版を契約していて文書全体を翻訳できる場合は、それを使ってもいいかもしれません。
学校の授業が役に立つ
私は、ロースクールでCivl Pro, Trust and Estate, Professional Responsibilityを受けていましたが、そのおかげでこれらの科目はあまり資料を読み込まずに済みました。
ロースクールの授業でNY Barに関連する授業を受けておくと、NYLEでも役立つと思います。
偶然にも私が受けた科目と重なりますが、Civl Pro, Trust and Estate, Professional Responsibilityはできることならロースクールで受けておいた方がいいかと思います。
Civil ProはNYLEの頻出分野ですので、全体像を理解しておくと勉強時間を短縮できます。
Trust and Estateは内容が複雑で、日本法と違うところも結構あります。それを短期間で理解するのは大変なので、先に授業を受けておくのがお勧めです。
Professional Responsibilityも頻出の分野です。必修なので必ず取ると思いますが、MPREもありますし、授業を受けておくと理解が早いです。
その他にもCriminal ProcedureやTortなども受けておいたら役に立つと思います。
ランク付けすると、以下のようになります。本試験の問題を全て覚えているわけではないので、参考としてご覧ください。重要だと思う順番に並べています。
Civil Practice and Procedure
Contracts
Professional Responsibility
Criminal Law and Procedure
Torts and Tort Damages
Evidence
Matrimonial and Family Law
Conflict of Laws
Real Property
Trusts, Wills and Estates
Business Relationships
Court System
Administrative Law
よくある質問
NY Barと関係ある?
NYLEはニューヨーク法の理解を試す試験です。それに対して、NY Barでは連邦法や一般的な手法に基づく広範なトピックが出題されます。従って、NYLEで勉強したことはNY Barにはあまり役立ちません。
NYLEの勉強は、NYLEのためと思って割り切って勉強した方がいいです。
Outlineの印刷は必要?
式Outlineは検索ができない仕様になっています。
私は試していませんが、試験中は他のソフトは使えないようになっていると思います。
そのため、資料は印刷して試験に臨む必要があります。
不合格時は再受験できる?
不合格の場合は、再受験が可能です。ただし、NYLCを再度受講する必要があります。詳しくは、合否結果の記事をご覧ください。そこに委員会からのメールがあり、再受講が必要な旨が記載されています。
試験はモニターされている?
試験中はPCのカメラをOnにする必要があり、試験を受ける様子は録画されています。
PCのカメラに映らない範囲であれば、スマホをいじったりすることは可能です。しかし、試験時間がタイトなので、試験問題の内容をスマホで検索したり、AIに聞いたりすることは難しいと思います。
タブレットでも受講できる?
タブレットでは受講できず、PCが必要になります。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
私もまだ結果が帰ってきていないのでなんともいえませんが、NYLEはきちんと対策すればそこまで難しくない試験と言われています。
何かわからないことがあったらいつでも質問ください。

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プロフィール

Ryo
こんにちは、Ryoといいます。 このブログは留学記です。 このブログのテーマは、『日本にいたらできないようなチャレンジをする』こと。 留学で経験したこと、考えたこと、感じたことをレポートします。 このブログの目的は3つあります。 人脈を増やすこと 学んだことをアウトプットすること ブログを継続すること このブログが少しでも皆様の役に立ってくれたら幸いです。